【オーストラリアへの道】ビザ編その4:警視庁にお邪魔します

オーストラリア渡航のために帯同ビザの手続きを始めた筆者。
今回は日本の犯罪経歴証明書をゲットするため警視庁に赴いた記録です。
前回のインドネシア警察への申請話はこちら。

目次

日本の犯罪経歴証明書:東京在住は警視庁へ

犯罪経歴証明書は、「外国へ渡航する際などに公的機関から要求された場合にのみ発給される、犯罪経歴の有無を証明する公文書」です。対象国や地域によって発給の際に必要な書類が違うこともあるため、どのような書類を用意して申請するのかよくよく調べることが大切です。
見た目はシンプル。

勝山兼年行政書士事務所HPより

発給は基本的には各都道府県警察本庁(または警察庁の場合も)が行います。
筆者は東京都在住のため、警視庁がそれにあたります。

仕方ない…行くか、警視庁(ちょっとわくわく)。

警視庁へ参った

刑事ドラマでよく見るあそこです

警視庁の入口にどう自然に入るか

東京に長く住んでいても、コナン君じゃあるまいし警視庁の中に入るなんてことはそうそうなくないですか。
筆者も通り過ぎるだけなら何度もありますが、中に入ったことは今まで一度もありません。

東京メトロ霞ヶ関駅から地上に出るともう建物は見えています。東京高等裁判所を右手にとことこ歩いて5分くらい。裁判所の前では教師?大学講師?の待遇の改善について訴えている方が(肝心な所を聞いていない)マイクパフォーマンスをしていました。

入口が近づくごとに高まる緊張感。

できるだけ不審がられないように…と思い、できるだけ害のない人間オーラを出しながら入口に向かって歩を進めましたが、全然効力を発揮せず、早速入口を警備している方に「お待ちください!」と止められました。ひぃぃすみません。
マスク越しとはいえ、どのような顔を向けて話をすべきか一瞬で考えた結果”目で笑う”ことに落ち着いた筆者。警備の方はそれを全く気にもせず「どちらへ行かれますか!」と爽やかな笑顔で聞いてきたため、平静を装い「証明書の申請に」と伝えると、「受付で申請の種類をお伝えください!ご苦労様です!」と案内してくださいました。
ありがとう、爽やかお兄さん。
第1段階クリアです。

古さと新しさの融合

VISIT CHIYODA HPより
引き伸ばしたら解像度低くて荒くなった

天下の警視庁でも、入口は結構簡素で小さいな…と思いながら受付へ。
緊張していたのか、眼光鋭い受付のお姉さん(割と年齢高め)に「犯罪証明書をいただきに」などとボソボソ言ってしまい、「犯罪経歴証明書ですね」と言い直される筆者。

名前と住所を書いた紙を提出して入館カードをもらい、「犯罪を証明してもらってどうする」と先ほどの自分にツッコミを入れながら受付横のさびれた待合室に移動しました。今の警視庁本庁舎はもう竣工から40年以上経っていますし、塗り直しや改装をしてもやはり少々古めかしい内装です。

カリモクのソファ(黒)の何倍も硬そうな応接セット。
町医者の診療室にありそうなくたびれた間仕切り。


黄みがかった白い壁のシミや剥がれをじっと見つめているとなんとも言えない気持ちになってきます。
そこは税金使ってもいいんじゃないのかい…誰も怒らないよ多分。


そうやって切ない気分で待機していると、5分もしないうちに名前を呼ばれました。朝一番だったのでそれほどかからなかったのかも知れません。
担当部署の方か、華奢な男性が筆者を迎えにきました。
入館するためのIDゲートは、古め建築の佇まいには場違いなほどに最先端っぽいサイバーマックス自動改札機みたいな見た目。

そこに担当者の方が自分のIDをタッチしてゲートを開き「私について来てください」と一言。

担当者の方の後について狭くて天井の低い通路をしばらく歩くと、少々こじんまりとした部屋に到着(それほど背が高くないのに大股だな、というどうでもよいことにずっと気を取られていたため、どこに通されたのか確認するのを忘れました)。

小部屋での出来事

まずは申請書類の確認

通された小部屋は、こんなレイアウトでした(うろ覚え)。

奥から筆者を入り口から案内してくれた男性の上司らしきオジ様が「おはようございますー」とのそっと現れました(これは…いつもは日和見キャラを演じていざという時にバシッと事件解決する能ある鷹は爪を隠すタイプ、という妄想をする)。
お二人で筆者の申請内容を確認してくれるようです。
犯罪経歴証明書の申請に必要なのは基本的には以下。

1.パスポート(有効期限内、コピー不可)
2.氏名、住民登録地が確認できるもの

  • 住民票(発行から6か月以内)
  • マイナンバーカード
  • 自動車運転免許証(住所表記が住民登録地と一致の場合のみ) 等

3.証明書発給の必要性が確認できる書類

ここで引っかかったのが、最後の「証明書発給の必要性が確認できる書類」です。

帯同者の証明

「帯同者」というポジションは、ビザを発給する立場や証明書を発行する側にしてみれば疑いの対象になり得ます。国によって帯同者が手にする権利の内容は違いますが、オーストラリアのように就学・就業が可能な国に渡航する結婚詐欺や何か犯罪を企てている人たちにうっかり発給してしまったら一大事です。そのような人たちが渡航先で犯罪を犯してしまったら国際問題になり、証明書を発給した警察の責任も問われてしまいます。

今回筆者が担当者の方にうまく証明できなかったのは、「筆者がビザの主申請者(夫)の帯同者である」ということです。「妻」であることは戸籍で証明できても、夫の雇い先が「Wifeのビザも発給してほしいからよろしく」という内容の依頼書をエージェント側に出していなかったため、「帯同ビザの申請が必要な人は誰なのか」がはっきりとは伝わらなかったのです。特に今の仕事の関係で別々の住所があるため、余計に難しかったのだと思います。

証明書の作成は進めてもらえることになりましたが、受け取る際に証明できる物(依頼書ややりとりのメールなど)を持参するように言われました。
能ある鷹は爪を隠すの上司、そこは厳しかった。

「逆転裁判」の茜ちゃんツールだ

続いて「指紋を採ります」と言われ、小部屋の横の壁側にある機械の前に座りました。
イメージはこんな感じの古い機械ですが、ディスプレイはドラゴンレーダーみたいな緑色でした(うろ覚え)。
指紋を採る場所はもう少し真ん中気味だったと記憶。

この画面どこかで見たことあるなあ…と思ったら、これです、名作ゲーム「逆転裁判」の茜ちゃんが使っている指紋採取キットと認証ツール。

科学捜査を愛する茜ちゃん
iOS版ゲーム「逆転裁判シリーズ」より引用

いいですねいいですね!ナイス警視庁!
と内心ワクワクが止まらない筆者。
業務のお邪魔にだけはならぬよう、一人頭の中で茜ちゃんBGMを流しておりました。

指紋採取にドキドキ

指紋は両手の指をそれぞれ、担当者の方(また違う男性の方。鑑識の方?)が一本ずつ丁寧に採取してデータに取り込んでいきます。
筆者が椅子に座り、担当者の方は右側に立ち「では左手の親指から」とそっと手を添えました。
指が乾燥しているとうまく反映されないようで、はじめ、水分のないカラカラの筆者の指先はダメだった様子。無香料の泡泡フォームをつけて馴染ませるように言われたのですが、これまた全然馴染まない笑
ティッシュでいい感じに拭き取り、仕切り直し。

※イメージはこちら

刑事事件相談広場HPより
注)今回の筆者は事件の容疑者ではございません

一本一本、側面から指を半周させるように登録するので、よく見る楕円の指紋のカタチではなく、長方形か台形と言った感じでした。

そして最後に証明書の引換証を受け取り、本日のミッション終了です。

いや、本当に貴重な体験ができました。

証明書が出来上がるのは大体2週間後。郵送やデータ送信などは受け付けておらず原則的に受け取りのみのため、再び警視庁にお邪魔しなくてはなりません。

そして2週間後

警視庁発行の場合は、指定された日にち以降ならいつでも受け取りが可能です。
筆者は最短の日程で受け取りに行くことにしました。

君はまだ警察の厳しさを知らない

先日申請した際に渡された引換証を警視庁の受付の方に見せると、またあの古めかしい待合室で「待機していてください」と言われました(また天井のシミと剥がれを見つめる時間)。

その際、約束していた「帯同者を証明するもの」(今回用意したのはビザ発給エージェントとのやりとりメールのプリント)を持参しました。やんごとなきお仕事の方や日本のしっかりした大企業の駐在員さんであれば、会社はきちんとした依頼書を用紙してくれるはずです。我が家はそこはさすがとも言うべき、やれることは自分でやってねのフワフワ外資。そんなもんありません。本当は改めて「この人たちのビザを発行する手続きをしているよ」とクリアに名前を書いた証明書みたいなデータを送って欲しかったのですが、エージェントにも夫にも「メールのやりとりでいける」と念を押されたので…まあ大丈夫だろうと筆者も甘く考えておりました。

しばらくしてまた別のスラッとした男性の担当者(スーツのシャツ姿+ダウンベストでカジュアルなお姿)が現れました。
英語のやり取りの中に筆者の名前もありますし「〇〇(夫の名前)とyour wifeのアレを送ってね」のような一文もあるので問題ないよねと思いながら、プリントしたメールを渡しました。

その時の筆者へ。
お主、甘いぜい!

取り調べは全力でお断りしたい

担当者の男性は、メールの本文を一字一句ゆっくり読みながら、

「この〇〇とは誰のことを指しますか?」
「この〇〇はあなたのことでしょうか?」
「この名前はどなたでしょうか?」
「どのようなご関係ですか?」


という感じの質問を少しずつ内容や言い回しを変えながら、何度も何度も何度も何度も何度も何度も聞いてきました。

Photo by Manuel Sardo on Unsplash

持参したメールのプリントが無駄に長く8枚あり確認する項目も多かったため、20分から30分くらいかかったと思います。警視庁の寒い受付横で立ちっぱなしだし、緊張もあってか2時間以上に感じました。はじめはソフトそうに見えた担当者の方も、完全に「僕、疑ってます」モード。目の奥のどす黒い光で筆者をギロン!とスキャンしているように見えてくる不思議。

「実は今朝、トースト1枚でやめようと思ったのに8枚切りは薄いもんでお腹すくかなと思って2枚食べて来ましたあーピーナッツバターも塗りましたあーごめんなさいいいー」などと聞かれてもいないことを吐いてしまいそうな空気でした。映画『グーニーズ』のフラッテリー一家に捕まったチャンクのように(知らんか)。

みなさん、警察にお世話になったらこんな風に取り調べされること請け合いですよ。筆者は絶対に悪事は働かないと心に決めました。当たり前です。

やっと手に入れた

「…はい、分かりました。メール内容から判断して帯同者に間違いないと判断しました。お渡ししましょう。」

と言われて、ついに封がされた犯罪経歴証明書を手に入れました✨

Photo by Xan Griffin on Unsplash
やったね!

何だか㊙️国家重要機密書類を手に入れたような気になり、ビクビク後ろを振り返りながら警視庁を後にする筆者。

受け取る際、「これは本来このまま提出するものです。封を開けると無効になりますのでご注意ください。」と念を押されたのですが、その後夫に「ゲットしました」連絡をしたら「すぐに開封しスキャンしてデータで送れ」指令がくだったため、一瞬で封を切りました。

インドネシア警察はペッとデータで送って来てくれましたが、それぞれの国で対応が違いそうですね。
郵便がちゃんと届くか不安な地域にお住みの場合など、日本は融通が効かなそうです(すみません)のでご注意を。

この記事は体験記です。万が一参考にされるという方がいらっしゃいましたら、国や申請の種類によっては原本でないと無効の場合もあるため、よくよくお調べになったほうが良いかと存じます!

ちなみに警視庁は見学可能です。よろしければぜひ。
こんなにウェルカム。

▶︎次回は健康診断について!

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