和菓子。
それは日本のココロ。
和菓子おいしや
筆者は「和菓子」が好きです。
一時期京都に住んでいたことがありますが、観光で行くのと住むのとでは少し視点が変わり、生活していくごとに気付くことも多く、とても実りの多い時間でした。
京都には長く引き継がれてきた素晴らしい文化が残っている…というより「日常」のいたるとこに染み入っているような気がします。
お休みの日には、京都が誇るおいしいものをたくさん食べ歩きました。懐石料理だけでなく、洋食もフレンチもイタリアンも、カフェもパンもお菓子も。
特に京都における和菓子の立ち位置は、細やかに季節を感じられる存在で、生活に近い場所にあるというか…「特別だけど友達」のようでした。
ふうう。
京都…行きたくなってきました。
東京の和菓子、愛おし
今住む東京はまた違う和菓子文化で、これまた面白い。
日本のみならず世界中から様々な物が集まる大都市です。伝統的なものからフュージョン菓子までこれほどまでに多くの種類が見られるのは東京だけです。
東京の名和菓子もたくさんありますよね。しゃれた和菓子も大変良いのですが、筆者は下町の和菓子が愛おしくてなりません。舟和の芋ようかん、うさぎやのどら焼き、船橋屋のくず餅…
東京の下町の和菓子屋さんのあんこ(餡子)は「塩」が結構効いているものがあります。
最近は甘みが少なめの上品なあんこも多くなってきましたが、おはぎやお団子、特に「たいやき」のあんこなどは、時に極上の”塩効きあんこ”に出会うことがあります。
たいやき わかば
四谷の「たいやき わかば」は2023年に創業70周年を迎えた名店。一個一個(一匹?)が独立した鋳型で焼かれる、俗に言う「天然」のたいやきのお店です。職人さんが熟練の手捌きでどんどん焼いているのに、全然途切れない行列と箱買いしていく人のおかげで全くストックが無く、いつも焼きたてが食べられるのです。
特にネットやSNSで様々な情報が手に入れられるようになってからは、さらに行列が長くなった気がしますが、待ち時間も焼いている作業やはみ出した生地を切る職人技を見られるので苦ではありません。
山手線の真ん中ということもあって、スーツを着た方が多く並んでいるのも特徴。お昼の時間帯以外は取引先への手土産にされるのか皆様箱買いをしていきます。
どんなお仕事でどんな取引先に行くのか、どんなお顔で頬張るのかを勝手に妄想するのもよし、です。
塩効きのあんこの妙
「わかば」のたい焼きは、焼きたてぱっりぱりの薄生地の中に塩が効いた自家製粒あんがたっぷり詰まっています。手に取るとずっしりとした重みを感じて、その詰まり具合がわかります。
キョトン顔のたいやき氏、なかなか可愛いお顔をしております。見た目からもぱりぱり具合がうかがえる生地の香ばしさに、たまらず頭からカプリと一口かぶりつけばあつあつのあんこがトロリと顔を出し、その甘みはすぐに頭のてっぺんまで突き抜けていきます。そして、熱々のうちは影に隠れている塩味が、時間が経つごとに徐々に効いてくるのです。この塩味のお陰で最後まで飽きずに食べられるのでしょう。
店内ではサービスで緑茶がいただけますが席数が少ないので、焼きたてを頬張りたい方は市ヶ谷方面に少し歩いて外濠公園あたりで食べるのもおすすめです。
この塩効きあんこ、単品でも購入できます。小分けにして冷凍しておけば自分でおはぎを作ったり小倉トーストにしたりして楽しむことができるのは嬉しいですよね。
日本で食べたい天然もの
「たいやき」は時々無性に食べたくなってしまうのですが、特に海外に出ると急に「遠くの人」になってしまう甘味でもあると思うのです。外国で”TAIYAKI”になって大きく口をひらいたお魚くんが大量のソフトクリームを詰め込まれたりしているのを眺めるのもたまには良いですが、いやどうにも見た目が苦しそうで筆者はなかなか手を出せません。
もとい、「あんこ」も最近ではレトルトも缶詰も海外進出している甘味屋さんもあるのですが、「ほかほかあつあつのあんこをぱりぱりの薄皮で包んだたいやき、しかもあんこは塩効き」が食べたくなったらどうします?(ただのわがままでしかない)
やはり日本で食べたい、「天然もの」なのです。
DATA
名代たいやき わかば
所在地:〒160-0011 東京都新宿区若葉1-10
HP:http://www.246.ne.jp/~i-ozawa/